心理学の活かし方~研究などイロイロ~

心理系学部生が研究や就活のことをまとめてみる

【新卒】発達障害学生が一般枠/障害者枠を両立するための方法

こんにちは。

ひと昔前に比べて障害を持った人が大学に進学することも一般的になり、発達障害を持った人が大学に進学することも難しくなくなりました。

その一方で「出口」である就職についてはまだまだといった感じです。

というわけで今回はそもそも実態として発達障碍者の就活はどうなっているのか?いつどのように動けばよいのか?を書いていきたいと思います。

 

私自身は最終的に一般枠で就職しましたが,12月ごろまでは障害者枠での就活も意識して就活をしていました。障害者枠か?一般枠か?を決めかねている人には参考になる点もあるはずです。

 

 

発達障害者の就職形態とは

発達障害者の場合、障害が見えにくいこともあり「クローズ就労」の選択肢があるのが特徴。今回はそれ以外の選択肢も解説してみます。

 

一般枠(クローズ就労)

健常者同様に普通に就活をして企業からの内定を目指すパターンです。障害によって区別や差別を受けない代わりに採用後の配慮等もないのが通常です。大企業であれば転勤や海外出張も要求されるケースも。


 

一般枠(オープン就労)

大企業を中心にダイバーシティを確保する観点からこのパターンが増えてきました。応募段階では一般枠と同じ形で応募しますが、ESの最後などに「障害による配慮」を希望することで選考や採用後の配慮を受けるパターンです。

 

一般枠の一部なので仕事の内容は原則として健常者と同じです。募集要項の段階では初任給はもちろん何年たったらいくら上がるかを示す給料表は健常者と共通であることが多かったです。実際私が相談をしたいくつかの企業でも「待遇は原則として健常者と共通」としている企業が多かったように感じます。

 

あくまでも障害者として就職するため,障害者手帳は必須となります。

障害者枠

障害者の就職として一番メジャーな仕組みがこれ。応募の段階から一般枠とは別になっているパターンで、一般枠とは異なる募集要項が作られています。

その内容を見る限りでは仕事内容が限定されたり転勤がない一方で一般枠よりも初任給が低いケースがほとんど。 雇用形態が正社員ではなく契約社員になっているケースもありました。

 

一般的なオフィスに障害者向けの配慮ができる上司のもとに配属されるケースが多いです*1。一方で障害者を1つのオフィスに集めて集中的に雇用する特例子会社という制度を導入している企業も。少なくとも私の場合,エレベータや障碍者向けトイレや物理的なサポートが不要だったので特例子会社は最初からナシとしていました。

 

ちなみに私自身は本格的な就活解禁を迎える3月より前の障害学生向けの就職イベントで、発達障害の採用実績はありますか?と聞くと「発達障害を含む精神はとらない」と言われたことも。

 

何をすればよいのか 

新卒発達障害者の就活にもいろいろなパターンがあるというのはわかったと思いますが,それにしてもパターンが多すぎます。もちろん一般の就活と同様に自己分析や業界研究も必須ですし,そもそも自分にとって障害者枠と一般枠どちらがいいのかわからないという人が多いはずです。

私自身もそうだったので、自分の経験も踏まえながらこうすれば良かったのではという点について解説していきます。

 

なるべく早いうちに発達障害の診断を受ける

障害者枠での就職をするためには障害者手帳が必要です。しかしそのためには医師の診断書が必要になってきます。明らかに症状が出ていて、かつ確定診断を受けていないならば早めに診断を受けたほうが良いです。

 

この後のフローにも時間がかかることを考えると、できれば高校生のうちに、遅くとも大学1年生の段階で診断を受けることをおススメします。

 

ちなみに近年発達障害を診察できる医師が減っていることもあり、初診までに3か月待ちというケースも多々あります。大学3年生になって「やっぱり一般枠はムリ」となって手帳取得を狙っても既に手遅れなケースも。

 

障害者手帳を取得する

医師の診断が下りたら障害者手帳を申請します。知的な遅れを伴う場合は療育手帳を、伴わない場合は精神障害者保健福祉手帳を申請します。

 

申請から2~3か月ほどで審査結果がもらえます。手帳の取得が認められた場合、手帳をゲットすることができます*2

 

なお精神障害者保健福祉手帳は2年ごとに更新するというルールがあり、更新を希望する場合は毎回申請する必要があります。しかも症状によっては更新が認められないケースもあるようです。


なるべく早いうちの手帳取得をおススメしているのは、障碍者手帳が有効な2年間のうちに障害者枠での就労体験をできる限り積むことで自分の将来を判断するためです。

 

就労体験を積む

高校生や大学生になってから確定診断をもらう人、あるいは親の教育方針で「可能ならば健常者とできるだけ同じ生活を」という環境で育った人ならば、今までもそれなりにはやっていけていたはずです。もちろん計画性が重視される大学でついていけなくなった人もいますが…

ただし就職する際には乗り越えないといけない2つの課題があり、その壁は決して想像以上に高いものです*3。だったらこのタイミングで障害者としての人生設計を考えたいとなるケースは少なからずあると思います。

具体的に2つの課題というのは

  • 就活を乗り越えて採用されること
  • 採用された企業に定着すること

ということです。シンプルですが結構難しいのが実情。採用しても大丈夫だと思わせる能力とそれを裏切らない実力どっちも必要と言うのは普通の人でもなかなか難しいものです。

こういった現状のもと自分にはどのような就労形態*4が望ましいのかを考えるために就労体験は必須だと思います。

ここでいう就労体験というのは,行政が管理する就労移行支援や作業所だけではなくインターンやアルバイトなど様々な形で企業や役所などで働くことを指しています。別に障害者枠でない一般枠でもOKです。

  

就活が解禁される3月以降のイベントは原則として障碍者手帳が必須ですが,いわゆるインターンシップの段階では手帳ナシでも受け入れてくれるケースがあります*5

 

障害者向けの説明会に参加する

近年の就活前倒しの影響を受けてか(?)3年生の段階から企業が説明会をするケースが増えていますし,3月以降になれば障害者向けの就活イベントも高等裁判所があるような主要都市*6で行われています。

短期のインターンは行っていなかったけど新卒障害者を採用したい企業もいるので,一般枠での就活とは別に応募してみるとチャンスが広がります。


マイナビリクナビのイベントの障害者イベントには大企業たくさん出展していますが,それは「障害者枠なら大手も余裕」という意味では全くありません*7

まとめ

新卒の発達障害者の場合、障害者枠と一般枠両方の選択肢がありとても悩ましいもの。ただ,早い段階からの試行錯誤が将来的な心の安定につながるのだと就活を経て痛感しました。少しでも参考になれば幸いです。

*1:少なくとも理念としてはそうなっています

*2:審査が行われるということは,逆にいうと手帳取得が認められないケースがあるということです

*3:私だって数か月後にはメンタルヘルスで休職しているかもしれない

*4:場合によっては作業になる可能性もあります

*5:大学を通したインターンはこの点柔軟でありおススメできる

*6:具体的には札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・高松・広島・福岡といったレベルの都市

*7:「納付金を免れるために1人採用が必要」というタイプの中小企業が説明会に参加するお金を払えないだけだと思います

【グーグルフォームでOK】図解!Twitterで使う卒論アンケートの作り方

こんにちは。

前回「twitterで卒論のアンケート撒くの最高!!」という趣旨の記事を書いたところ,いろいろな方から反響を頂きました。そしてその多くは比較的好意的なものでした。感謝いたします。

前回の記事はこちら


今回の記事は「どうやって卒論向けのアンケートを作ればいいかわからない...」という人向けの記事。

いかにして卒論におけるTwitterアンケートの質を改善するか?に焦点を当てて記事を書いていきます。

お気づきの方もきっといるはずですが.この記事は以前テキトーな質問紙を作って撒いた結果,地獄のようなこと*1が起きた私の二の舞にならないで頂きたい...という思いから書いています。

 

1.マインドセット

まずtwitterで撒いたアンケートに答えてくれる方の特徴を考えてみます。回答する人の特徴を考えなければ「何を意識すればいいのか?」を考えることすらできません。

  • 善意
  • 時間は使いたくない
  • 回答を真面目にする動機がない

この他いろいろありますが,おそらくは「2~3分で簡単に回答できるアンケートなら協力してあげてもいいけど,それ以上は絶対無理」が現実だと思います。

従って,2~3分で確実に回答しきれるアンケートにする(記述式回答を強制するとか論外です)か,謝礼を支払ったうえで真面目に回答するインセンティブを与えるかでしょう。

2.何を使う?

まず,Twitterのアンケート(投票)機能は絶対に避けましょう。以下のようなマズい理由がたくさんあります。

  • 回答者の方が誤った選択肢に回答してしまっても修正できない
  • 回答にかかる時間が短すぎ,全く考えずに投票する
  • 悪意あるリプライによって回答が影響を受けやすい

というわけでTwitter以外の方法を探すことになりますが,無料で使えるフォームから選ぶならGoogle Form(グーグルフォーム)がおススメです。
理由としては


・多くの人が使っていて信用されている(怪しいから回答しない!を予防できます)
・解説サイトが多くあり,いろいろな工夫が可能
csv(Excelファイルに近いヤツ)でダウンロードが可能で,分析前の手入力が不要である

といったものが挙げられます。というわけで今回はグーグルフォームを使う前提でアドバイスを書いていきますね。

3.どんな質問を作る?

まずは「何を質問すべきか?」から検討していきましょう。

既に確立されている質問紙,例えばユーザビリティにおけるNASA-TLXなどを使う場合は気にしなくても良いですが,そうではない場合や「尺度作成」が目的の場合はこの段階で指導教員の先生とじっくりと相談する必要があります。

私はノリで質問紙を作って,1万円を無駄にしたことがあります...。ですので先生方との相談を繰り返しましょう。ここは大事です。


いずれにしても,実際の調査では大きく分けて回答者の属性(性別や年齢)に関する質問と,卒論で聞きたいことに関係する質問の2つがあることがほとんどです。

リサーチ会社(マクロミルなど)が行うアンケートでは属性に関する質問は最後の方に!という鉄則があるらしいですが,twitterでグーグルフォームを拡散する場合は属性に関する質問は最初にしましょう。

というのも特定の属性にのみアンケートを配布できるリサーチ会社と異なり,twitter経由でグーグルフォームを回答する人の属性はバラバラすぎるからです。

twitterのツイートに対象者の属性を書いたからアンケートでは聞かなくていいや!というのは絶対ダメです!あなたのツイートをちゃんと読まずにグーグルフォームに来ている人もたくさんいます!

 

特に一部の属性に対してアンケートをしたい場合や,属性ごとに目標回答数を決めている場合などは必ず最初に属性を置きましょう。

 

という注意書きをしたうえで早速作ってみましょう。今回の調査テーマは「中学校の時に受けた授業の好き嫌いについて」です*2

 

セクションを用意しましょう。

属性の作り方

最初に属性を聞くべし!と書きましたが,どのように聞けば良いのでしょうか?初めてグーグルフォームを使う方にもわかるよう,図をふんだんに使って解説していきます。

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上の図と数字を対応させながら読んでくださいね。

ラジオボタンを選択
②「必須」をオン
③「回答に応じてセクションに移動」にチェック
④「次のセクションに進む/フォームを送信」のいずれかを選択

 

セクションを最初に作って置かないと,「回答に応じてセクションに移動」は出てきません。


今回は「男性」のみをターゲットにしているため,それ以外の方はここで調査終了ということにします。そのため「男性」のみ「次のセクションに進む」にしてそれ以外は「フォームを送信」(調査終了)を選択しましょう。

 

本来調査したい質問項目の作り方

心理学の卒論のアンケートでやる場合,5件法(1が「大好き」で5が「大嫌い」)のようなアンケートになるはずです。グーグルフォームで作成する場合少し面倒ですが,それでもちゃんとできます。図も用意したのでやってみましょう!

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①「選択式(グリッド)」を選択
②「行」に質問文を,「列」に1~5の選択肢を配置*3
③「各行で1つの回答を必須にする」をオンにする

特に「各行で1つの回答を必須にする」は必要に応じて必ずオンにしましょう。これを使うことで,「回答者が忘れたせいでデータがムダになった!」ということを避けることができます。

4.おススメの機能

ここまでで最低限のアンケートは作れたはずです。でも「少しでも良いアンケートを」と考えたときにはいろいろな工夫ができます。

ただしプログラミングを必要とする機能も多いため,今回はプログラミングなしで使える機能や「コピペだけ」でできる機能に絞って次の3つをおススメしてみます。

 

行を並べ替える

アンケートの内容によっては「質問の順序が回答に影響するかも...」というケースがあります。いわゆる順序効果というやつです。

この機能を用いることで質問の順序による影響を相殺することが可能になります。

 

画面右上にある「歯車」(設定)にある「質問をシャッフルする」とは別の機能です。「質問をシャッフルする」を選択すると,セクションを無視して質問がシャッフルされてしまいます。

進行状況バーを表示

心理学系の卒論を書くために行う質問紙調査では,どうしても質問が多くなりがちです。
紙で調査する場合両面で合計5ページ程度でしょうか。

しかしネットのアンケートで5ページ,すなわち画面遷移5回というのは回答者にとって相当の負担です。そのため少しでも回答者の負担を減らす努力は義務だと思います。

特に「このアンケートいつまで続くんだろう...」という不安は回答者にとって極めて大きなストレスです。途中でアンケートから離脱するきっかけになります。

進行状況バーを表示することで,「今全体のうちこれくらいの位置なのか...」ということがわかり,回答者のストレスを抑制することができるはずです。

画面右上にある「歯車」ボタンを押して設定を選択すると「進行状況バーを表示する」がありますのでこれをオンにすればOK。

回答数制限

N数(サンプルの数)を無制限に増やせば簡単に統計的有意になってしまいますし,それはもはやチートです。

また謝礼を支払ってアンケートに協力してもらう場合,予算の都合によって取れるサンプル数が自動的に決まってしまうケースがあります。

特に謝礼ありの調査の場合,「アンケートに回答してあげたのに謝礼がもらえないんだけど!」ということになると大変なことになります。そんなことを避けるために回答数を制限することが必要です。

上の2つと異なり,プログラミングが必要な機能ですがありがたいことにコピペでできるようになっています。

やり方はこちらのサイトで解説されていますのでご確認ください。


5.謝礼送付先の情報を得る

対面での調査ではないため,何らかの方法で謝礼を送る先の情報を得る必要があります。手段はいろいろあるはずですがメールがおススメです。

先ほどと同じく「歯車のマーク」ボタンで設定を選択し,「全般」を選択しましょう。そうすれば「メールアドレスを収集」が出てきますからこれをクリックすればOKです。

 
当たり前ですが,個人情報の管理についてちゃんと説明してから取得する必要があります。

6.回答者の負担を意識した質問紙にする

先ほども書きましたが,twitterでアンケートを撒く場合,回答者の負担を減らすことを徹底的に意識する必要があります。少しでも面倒くささが増すと離脱される確率が大幅アップです...

一度作成したら必ず他の人,できれば質問紙作成に関係していない人に試しに回答してもらいましょう。

  • 回答者によって解釈が割れるような質問はないか?
  • 回答者にとって不快に感じる質問はないか?
  • 記述の比率が過剰に高くないか?

これらは最低限チェックする必要があります。回答してもらった人から何らかの指摘があった場合,修正するかどうちゃんと検討すべきです*4

また回答者の多くはスマホで回答しています。そのため,実際にアンケートを撒く前に「スマホで回答するとどう見えるの?」ということを必ず確認しましょう。アンケートはスマホで回答しやすいか?が全てです。

まとめ

すべきことはたくさんありますが,無料でいろいろな人を回答者にできるのはネットアンケートの強みです。本記事を活用しつつ,先生方にも相談しながら,後輩の皆様が納得できる卒論を書いてくださることを願っています。

 

ご質問があればTwitterでも質問箱でも遠慮なくお寄せくださいませ。

*1:お察し下さい

*2:グーグルフォームの使い方解説が目的なのでテーマは適当です

*3:間違って順番を間違えてもドラッグ
 アンドドロップで修正可能です

*4:研究目的によっては修正しなくてもいいのですが

【学生】つみたてNISAを1年したらこうなった!(バイアンドホールドで7%のリターン)

こんにちは。

先日こんな記事を書いていました。


今回はまだ大学生である私が1年私自身がつみたてNISAをしてどうなったのか?を書いてみたいと思います。基本方針はつみたてNISAで20年持ち続ける!ですが果たして...

結果

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上の図の通りです。時々投資方針の変更あったものの1年間とにかくつみたてNISAを買い続けただけでこれだけのリターン(7%)が出たのはすごい…!

いかに今年の投資環境が恵まれていたかがよくわかります。2019年は日経平均だけでなく世界的にも株高の傾向でしたしね...

2019年の投資方針と振り返り

初めての投資であり,そもそも投資に使える金額がまだまだ少なかったためつみたてNISAを選択しました。大学院進学の予定だった前半と後半で,投資の方針が大きく変わりました。

フツーの学生なので,年40万円の投資枠を使いきれていないのはご愛敬ということで...

価格の変動が怖いのでなるべく毎日つみたてしたい!というタイプの人です。

前半

大学院進学をする予定だったので,大学院生活でいつでも引き出せないと困るな...と考えていました。ということで価格の変動が少なく大きな損をしにくいファンドを選択しました。

基本的には株式メインのインデックスファンドしかないつみたてNISAですが,国内債券メインのファンドです。

この時期は楽天銀行経由で毎日楽天ポイントがもらえたため,毎日100円ずつ積み立て投資をしていました。

この時期に投資していたのは次のようなファンドです。eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)は月4000円&毎日100円,それ以外のファンドは全て毎日100円のつみたて投資をしていました。

  • eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)
  • ニッセイ・インデックスパッケージ(国内・株式/リート/債券)(ファンドパック日本)
  • Smart-i 8資産バランス 安定型
  • たわらノーロード バランス(堅実型)
  • DCニッセイワールドセレクトファンド(安定型)
  • 三井住友・DC年金バランス30(債券重点型)(マイパッケージ)

特にDCニッセイワールドセレクトファンド(安定型)は信託報酬0.17%でありながら,国内債券比率65% というつみたてNISAのファンドでは極めて高い国内債券の比率を誇っています。

 

後半

学部卒で就職することになったので「一回つみたてNISAに投資したら数年は売却しないだろう」と考えました。そのため前半とは打って変わって株式メインのファンドを選択しました。

年の前半と異なり楽天銀行経由での楽天ポイントがもらえなくなった*1ため,楽天カードを利用した投資を行うことにしました。

後半は下のようなファンドにつみたて投資していました。
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)とDCニッセイワールドセレクトファンド(安定型)については月4000円の積み立て投資を行っていました。またDCニッセイワールドセレクトファンド(安定型)を除くすべてのファンドは毎日100円ずつのつみたてにしていました。

  • 楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天・バンガード・ファンド(全米株式))
  • eMAXIS Slim 新興国株式インデックス
  • eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)
  • DCニッセイワールドセレクトファンド(安定型)

 

債券を含むファンドはバランスファンドになっている*2ため,1つのファンドでいろいろな資産クラスに投資しています。

というわけで今回は資産クラスごとにどの程度の割合で投資しているのかを確認してみました。前半,後半で債券→株式への明確なシフトが見られます。

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私の場合日本の経済の将来性には全く期待していないので,日本株はなるべく買いたくないスタイルです。ということもあって前半・後半ともに少なめの購入量になっています*3

書きながら改めて「ちゃんと方針を決めて投資をするって大事だなあ...」と感じました。2019年は株高だったこともあり「何を買ってもだいたい儲かる」状況でしたが2020年はかなり不安です...

2020年の投資方針

基本的には先進国株式に楽天カードを使って投資する!という方針を維持する方針は変えずに行こうと思います。

その一方ですぐに引き出す可能性のあるお金もできるだけ投資していきたいので,引き出す可能性のある資金は日本国債メインのファンドで運用する方針に切り替えたいです。

2020年に試したいこととして「毎月つみたて/毎日つみたて」の結果の比較があります。ネットを見ていると「結果はほぼ同じ」という風に書いてありますが,自分自身でもちゃんと確認したいです。

そのうえで証券会社を通じて個人にお金を貸すソーシャルレンディングなど,日本円から為替を利用せずにできる他の投資も始めてみたいと思います。はたしてそれだけのお給料がもらえるのでしょうか...

*1:要するに制度の改悪ですね

*2:つみたてNISAのルールで「債券100%はNG」というものがあります

*3:カントリーバイアスとは逆ですね

【論文紹介】あなたのリツイート理由,説明できますか?

本記事はGoogle Advent Calender にある #今年読んだ一番好きな論文2019 に応募するために作成された記事です。他の作成者さんの記事は下記のリンクよりご覧ください。他分野ですが本当に学びになります。


皆様こんにちは。ことりさん(@MarathonUniv)です。

ありがたいことに(?) #今年呼んだ一番好きな論文2019 に執筆のチャンスを頂きました*1。 

ということで今回は私の専門である心理学からtwitterに関する研究を紹介したいと思います。

こちらの研究です。

M. Komori, A. Miura, N. Matsumura, K. Hiraishi, and K. Maeda (in press). Spread of Risk Information Through Microblogs: Twitter Users with More Mutual Connections Relay News That is More Dreadful, Japanese Psychological Research.

記事を書いている12月16日現在はオープンアクセスのPsyArxivで読むことができます。

 
この論文を選んだ理由は,バイオ系の優秀な執筆者の皆様に興味を持っていただくためにtwitterの研究を書くしかない!社会心理学でもバズれるんだ!!というのを見せたい*2と思ったからです。

余計なことはさておき論文紹介に入りましょう。

筆者の皆様のうち,多くはtwitterをされており,しかもたくさんtwitterでつぶやかれております。そんな(きっと)twitterが好きな研究者たちのtwitterへの惜しみない(?)愛もたっぷりとお楽しみください!

POINTこの論文は,Twitterリツイートされるノロウイルス原発などのリスク情報をよくリツイートするのはどんな人なのか?また彼らは何のためにリツイートするのか?を検討しています。
本文で掲載の図はKomori et al.(2019)を基に全て自らの手で作成しました。また内容について誤読している恐れがあります。個人の研究等に活用される際は必ず原文を確認するようにしてください。
 

はじめに:リスクはどのように認知されるか?

リスクの知覚に関する研究は多くありますが,本研究ではSlovic(1987)のリスク認知に関わる2要因モデルに基づいて課題の検討が行っています。
 
Slovic(1987)はリスク認知には恐ろしさと未知性の2要因があることを示し,当時のアメリカ人がタバコ以上に遺伝子工学(いわゆるゲノム編集など)を危険なものだと知覚していることを示しました。

なお,その後の研究で時代や文化によって「何をリスクとするのか?」は大きく変化しうることが示されています。

調査手続き

本記事の読者の方の多くはバイオ系と思われるので少し丁寧に書いていきます。

本研究はtwitterにおいてリスク情報はどのように拡散するか?またどのような人がリツイートする傾向があるのか?を探ることが目的です。そのためまず「どのツイートのリスク認知を調べるか」決める必要があります。
 
調査対象のツイートは次の方法で選出しました。 
  1. 疾病・自然災害・放射能災害のいずれかのリスク情報を含むツイートを検索
  2. 毎日新聞のデータベースからリスク事象と結びつきの強い単語を47語選出
  3. 1と2の条件を満たすツイートからランダムに10%を選出
  4. 50リツイート以上されていることツイート(70ツイート)を選出
  5. 70ツイートについて全て読んだうえで手作業で10個のツイートを選出
簡単に書いていますが,これを実際にやろうとするとだいたい30時間×5人くらいの時間がかかります。私も似たようなツイートの分析をしたことがありますが,恐ろしいくらい面倒な作業です。*3
 

リスク知覚の評価

クロスマーケティングのパネルを利用して,20歳~69歳までの日常的なTwitterユーザー500人を確保しました。

手続きで選出された10個のツイート全てについて,Slovic(1987)と同様にDread(恐ろしさ:リスクが制御できず破局的な結果を招くこと)とUnknown(未知性:発生原因や被害が未知数であること)の2つの観点から6件法(数が大きくなるほどその指標を高く評価している)で評価させました。

最後にちゃんと該当のツイートを読んでいたかを確認するため,評価した10個のツイートと評価に使っていない5個のツイートの合計15個のツイートから,「読んでいない5個はどれか?」を回答させる再認課題に答えさせました。
 
ちなみに最後の再認課題の結果,500人中365人は不正解でした。これは10個のツイートをちゃんと読まずに評価していた可能性を示しています。
 
クロスマーケティングのパネルは有料でスクリーニングを実施しているのですが「いい加減な回答をすると今後はアンケートが送られなくなるかもしれない調査でも半分以上の人は適当に回答する(かも)」ということなのでしょうか...

リスク知覚の結果

上記の再認課題で正解して135人の結果を分析したところSlovic(1987)と同様に放射能災害を含むツイートは相対的に重大性と未知性の得点が高かったことがわかりました。

詳細な結果は下の図をご覧ください。*4

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ツイート拡散の流れの検討

ここからtwitterにおいてツイートがどのように拡散するかを検討しています。まず調査対象となった3000人のユーザーについてIndegree(ツイート流入),Outdegree(ツイート数),Centrality(フォロワー+フォロイー),Mutuality(相互フォロー数)を全てチェックしました。この研究における変数となります。
 
4つの変数について対数変換したあと相関係数を求めたところ正の相関がみられたため,主成分分析(PCA)を行いました。結果は次の通りです。

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これらの結果から,おおむねTwitterにおけるリツイート行動はフォロワー/フォロイーの多さを示す中心性と,相互フォロー率によって説明することが可能と考えられます*5
 
 
続いてロジスティック回帰分析を行った結果,CentralityとMutualityが低い人ほどリスク情報をリツイートする傾向があることが明らかになりました。
 
さらにツイート内容の重大性とMutualityの交互作用が有意であり,相互フォローの多い人は重大性の高いツイートほどリツイートする率が高くなる一方,相互フォローの少ない人は重大性の低いツイートほどリツイートする率が高くなることが示されました。詳細な結果は次のグラフをご覧ください。

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これらの結果からリスク知覚はTwitter内での繋がりに応じて,Twitterユーザーに異なる影響を与えると考えられます。

 

考察

結果としてリスク情報を含むツイートはユーザの特性によってリツイートする/しないに異なる影響を与えることはわかりましたが,これは伝統的な影響モデルではリスク情報伝達を説明しきれないことを示しています。どうしてこのような結果になるのでしょうか。

 

本研究ではこの結果についてTwitterを使う動機が異なるのでは?*6という観点から検討しています。

Miura & Yamashita(2007)を始めとした研究ではSNS使用目的を「情報交換」と「社会的な関係の維持」の2要因があるとしています。Naaman, Boase, & Lai (2010)はTwitterの利用者を情報交換をメインの目的とする"Informers"と,個人的な関係を維持するために自らについて情報更新を行う"Meformers"に分けています。

結局これら一連の研究から次のような説が示されています。

Twitterは情報ネットワークと社会ネットワークという2つの仕組みが存在し,Twitterを使い始めた初期では情報ネットワークとして情報交換を重視する傾向がある*7が,フォロワー/フォロイーが増加するにつれてTwitter内でのかかわりという社会ネットワークをより重視するようになる。


さて上記のような研究成果をもとに筆者たちは様々な考察を行い,リツイート行動には2つのメカニズムがあるとしました。

  1. 幅広い種類のリスク情報をリツイートすることで情報交換をしたい人によるリスク情報の拡散(相互フォローが少ない人に該当)
  2. フォロワーに自分自身が感じた恐怖感を知らせるためにリスク情報をリツイートする人による拡散(相互フォローが多い人に該当)

 

せっかくなのでみんな大好きいらすとやを使って図にするとこんな感じになります。

 

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感想

筆者らによるTwitterに関する研究はこれが初めてではなく,これ以外にも多くの研究があります。研究成果についてもっと知りたい!という方はこちらのリンクから成果報告書を日本語で読むことが可能です。

他の研究を見ても思いますが,筆者に皆様Twitter好きなんだろうなあ...というのが本当に伝わってきます。このプロジェクト自体は2016年に終わってしまいましたが今後の進展を期待したいものです。

話を本題に戻しましょう。考察では相互フォローの数が増えれば自分の思いを相手に伝えるためにリツイートするようになると述べました。

個人的にも昔は面白いと思ったらなんでもリツイートしていたけど,今(Twitter歴5年,1日あたり50ツイートくらい)はフォロワーさんの目も気にしてツイートするようになったなあ...と感じます。主観的にも納得のいく結果です。

ただこの記事を書きながら私の相互フォローの数を見てみたのですが,「少ないなあ...」と感じてしまう数でした。ムダなリツイートばかりしているからでしょうか...

では最後にみなさんにお聞きします。あなたはそのツイートをリツイートしたのはなぜですか?そして相互フォローの数はどれくらいですか?

...というわけでお読み頂きありがとうございました。本記事を読んで面白かった!と感じられた方,宜しければ私のtwitterもフォローして頂ければ幸いです。
 

引用文献

Miura, A., & Yamashita, K. (2007). Psychological and social influences on blog writing: An online survey of blog authors in Japan. Journal of Computer-Mediated Communication, 12(4), 1452–1471.
Naaman, M., Boase, J., & Lai, C.-H. (2010). Is it really about me?: Message content in  social awareness streams. In Proceedings of the 2010 ACM Conference on Computer Supported Cooperative Work (pp. 189–192).
Slovic, P. (1987). Perception of risk. Science, 236(4799), 280–285.

*1:学部生で卒論執筆が忙しいのに何で引き受けたのかはアレです。すなわちアレがアレ。

*2:いや違う,参加賞欲しい

*3:12/23追記, 注釈3を削除いたしました

*4:論文掲載のグラフをもとに手作業で作ったので,元論文と少しズレがあります

*5:この2要因で全分散の88%が説明可能です

*6:残念ながら本研究の特性上個人のTwitter利用目的までは検討できていませんが

*7:この段階ではリテラシーが低い

なぜ卒論のアンケート調査にtwitterの活用は有効なのか?(注意点も解説しました!)

こんにちは。

先日twitterを眺めていたところ,「twitterで卒論のアンケート調査をするのって,学生と所属研究室の教員,大学の品位を疑いたくなる」という趣旨のツイートを見つけました。

この考え方の理念には賛同できるのですが,個人的には思うところがあり次のようなツイートをしたところ,いくつか懸念点を指摘していただきました。

皆さんのご指摘をまとめると,

  • 多重回答への対策ができない
  • サンプルはほぼフォロワーの考えに近い人になる
  • まじめに回答する動機がない

おおむねこんな感じでした。皆様鋭いところをついていらっしゃる...。特に多重回答への対策については見落としていました。

今回は皆様のご批判への回答(と反論)を書くことで,今の心理学部がいかに危機的な状況で卒論にtwitterを使わざるをえない状況なのかを考えて頂ければ幸いです。

なお私自身は何ら工夫をせずにアンケート調査を行うことには反対の立場で,過去には次のような記事を書いています。1つ目の記事ではあいちトリエンナーレ騒動をめぐるtwitterでの調査のいい加減さについて触れました。

こちらの記事では,そもそもなんでみんな質問紙調査(アンケート)しちゃうの?というのに個人的に思うところ書いています。

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心理学部でのサンプル収集はどう行われているか?

私自身は心理学部に所属する現役の学生ですが,秋くらいの時期になると「実験に参加してください!」とか「質問紙調査へのご協力お願いします!」というお願いがなされます。

私自身も先日まで「実験に参加してください!」とお願いしていました。

ではどうやってこういうサンプルは集められるのでしょうか?
私の大学や知っている範囲では以下のようなものが考えられます。

  • ①心理学の授業履修者に授業前にお願いする
  • ②心理学部のLINEでお願いする
  • マクロミル楽天インサイトなどのネットリサーチ会社のパネルに委託する
  • 世論調査同様にRDD方式で電話をする
  • ⑤手続きを踏んだうえで郵送アンケートにする
  • twitterで撒く

この中で④,⑤は実際にやっている学生を(少なくとも私は)見たことがありません。それは実行するのに時間とお金(電話料金や郵送費)がかかる割に,本当にサンプルを集められる保証がないからです。

そもそもですが,心理学の論文(特に実験系)ではサンプルの質は意外といい加減にされています。例えばPNAS*1(NatureやScienceに次ぐ一流ジャーナル)掲載論文ですら実験参加者は同じ大学の心理学部の大学生でした!とかフツーに見ます。

心理学界隈としては,「同じ大学の学生はヒト一般を代表する」と考えられているのか上のようなことが許容されているわけです。もちろん母集団が特殊な研究ではそれに見合ったサンプル収集が行われています。
 

質問紙の調査の場合ほぼ①,②のような手法で行われています。もちろん心理学の学生向けに質問紙を撒いてヒト一般に適用できる研究もあると思いますが,「(ヒト一般の)抑うつ傾向に関する尺度の検討」というテーマで心理学部の学生に質問紙を撒くのはどうしても適切だとは思えないのです。

特に臨床系の学部生の場合,卒論のテーマが質問紙になるケースが多いこともあり,心理学部生からサンプルを集めるのは適切なのか?と学部生ながらいつも思って見ています。

なぜパネル調査を活用できないのか?

ここまで読んできた方なら「やっぱりマクロミルとかのパネル使うべきなのかな...」と思った方もいるのではないでしょうか。私もそう思います。

でも大学にはできないのです...。なぜか?そんなお金はないから

そもそも自分で質問紙を設計して,パネルに投げるといくらかかるのでしょうか?


このサイトによれば,サンプル数101~300人,質問数20~30問という卒論でありそうなレベルで9万円かかるそうです。

学生のアルバイトの時給が約1000円であることを仮定すれば90時間分。最低限の生活費も考えれば急に9万円負担できる学生がどれくらいいるでしょうか?少なくとも私にはムリです。

とすれば大学の研究費から支出することが考えられます。しかし私の大学のように実験参加の謝礼が毎年引き下げられる状況ではとてもじゃないけどムリなのが実情。

仮に大学教員の科研費を活用するとしても,心理学部の卒論の多くが科研費の枠外*2にある今,研究費の流用は困難なはず。

こういう現状を全て考えれば,少なくとも卒論や修論レベルでは企業の調査のようなパネルの導入は無謀であると考えざるを得ません。

なぜtwitterでの調査は有効なのか?

ここまで大学で一般に行われるサンプル収集の方法やパネル調査には課題が多いことを説明しました。ではなぜtwitterでの調査は有効なのでしょうか。


結論としては,

  • 圧倒的低コスト,ほぼ0円
  • サンプルの質がそこそこ高くなる

こういった理由で卒論などの業績にならない論文での調査に実装できるからです。*3


コストが圧倒的に安いのは言うまでもありません。ではサンプルの質はどうでしょうか。

確かにtwitterでのアンケートの回答者は基本的にフォロワーさん,すなわち研究実施者と興味関心・思想がある程度似ている人たちです。決してサンプルの質が高いとは言えません。

しかしtwitterにはリツイートという大学内での紙アンケート調査や,パネル調査では絶対に使えない武器があります。twitterユーザーの善意に支えられてリツイートが繰り返されればアンケートを見る人の属性は必然的に多様になり,回答者の属性もそれなりには多様になるはずです。

仮にリツイートされることなくフォロワーだけが回答者になったとして,大学の心理学の授業で集めるよりもサンプルの質が低くなるでしょうか?私には同じくらいの質は確保できると思います。

私自身も卒論の実験参加者募集をtwitterで行いましたが,それは「同じ学部のプロ被験者を可能な限り排除する」のが目的でしたし,結果的にはある程度成功しました。

これらの観点から,twitterでのアンケート調査は現実的でありまた有用であると私は考えます。

twitterで調査をする際には何を気を付けるべき?

ここまでtwitterによるアンケートの利点を書きましたが,無条件に良いわけではありませんし,注意すべきことはもちろんあります。

  • a.調査対象属性の検討
  • b.多重回答の抑制
  • c.不真面目な回答の抑制

これらの観点に対して対策がほとんど打てない,twitterの機能であるアンケートシステムにそのまま選択肢を貼り付ける行為は避けるべきだと思います。例えばグーグルフォームなどのtwitter外のアンケートシステムに誘導するのはどうでしょうか。少なくともtwitterで完結するよりはよいでしょう。

ではグーグルフォームを使うとしてa~cの問題を解決するためにできることを考えてみたいと思います。

aについてはグーグルフォームを予備調査・本調査に分割し,必要な属性でない場合予備調査の段階で排除することで対処可能なはずです。

bについては最終的にはあきらめるしかないと思います。大学の授業で集める場合でも悪意のある回答者がこっそり2人分回答したり,パネル調査だって身分証明書を偽造すれば可能です。

ただし,質問の量を増やすことで面倒くさくして多重回答する人を抑制することはある程度可能です。また回答者の同意を得たうえでクッキーを取得することでも抑制できます。実装可能なのかはわかりませんが...*4


cについては真面目に回答するインセンティブを与えることで対応できます。具体的には回答者の同意を得たうえでメールアドレスを取得し,謝礼としてamazonギフトカードを送るのはどうでしょうか。自分で謝礼を用意しサンプルも確保する分,パネルよりも安価に実施できると思います。*5

このときに,著しく回答の品質が低いとみなされる場合*6には謝礼は送らないという注意書きをしておくことである程度真面目に回答するインセンティブにはなるはずです。


ただし私の大学では謝礼にamazonギフトカードを送る行為は認められていません。自己負担で調査する大学では可能かもしれません。

 

もちろんtwitteとグーグルフォームという無料のシステムを使うため完璧ではありませんが,それでもそれなりの質を担保することは工夫次第で可能だと思います。

実際に質問紙調査をするならどんなふうにグーグルフォームを使って質問紙を作ればいいのか?をこちらの記事で解説しました。ぜひご覧ください。

まとめ「完璧な調査は存在しない」

本記事では大学の心理学部におけるアンケート調査の実態を解説した上で,twitterでのアンケートのメリットと注意点を解説しました。

twitterでの調査には賛否ありますが,目的をしっかり決め,限界をわきまえた上で調査するならばこれ以上の武器はないはず。

私個人としても,ある程度は質問紙調査のいい加減さに目をつぶってでも研究成果の公開を認めたうえで,その後の追試によって質問紙と結果の妥当性が検討される方が健全だと思います。

これからtwitterで卒論アンケートをされる皆さんはこの記事の解説をよく読んだうえで「注意点を克服できてる?」と考えてもらえれば幸いです。

*1:Proceedings of the National Academy of Sciencesの略,IFは9.5程度

*2:私のラボの場合,私以外全員科研費とは独自に研究しています。そのため謝礼も抑制されています

*3:さすがに博士論文やNatureを狙う論文のサンプルをtwitterで集めていたら笑えませんが...

*4:同意をちゃんと得ないとリクルートみたいなことになります

*5:例えば,300人に30問のアンケートを,amazonギフトの謝礼100円で実施する場合,3万円になります。これは上で書いたパネルの1/3の価格です

*6:例えば全ての問題に"1"と回答する行為

【大学生向け】初めての資産運用で考えるべきこと「投資で全資産失った...」を防ぐために

こんにちは。

最近ニュースを見ていると,「年金以外に老後2000万円必要」だったり「消費性税率の15%以上への引き上げ」などなど悲観的なニュースばかり...

自己責任で老後資金も調達してください!という影響からか政府としても投資を含めた資産運用がおススメしているように思います。


ただ,フツーの学生ができる投資って何があるのか?今やるなら何が選択肢としてあるのか?についての情報はほとんどないのが実情。大学の教養科目や高校では投資の話ってほとんどされないですし...

ということで既に「つみたてNISA」に15万円課金した私が今回は学生,しかも数か月前の私のように大学院進学を考える学生向けに「現実的に何から準備すればいいの?」をまとめてみました。

学部卒で就職する場合,多額のお金が入ります。私の場合は学部卒で就職することになり投資方針が大きく変わりました。そのため本記事では割愛します。

 

 

大学生・大学院生の収入を考える

投資を含む資産運用の際には今の支出と収入を考えるのが必要なはず*1
ただ支出は実家暮らしで交際費まで親から援助されるケースから,1人暮らしで学費と生活費全額が自己負担になっているケースまで幅があります。

それに対して平均的な収入はどのへんなのか?は少し考えやすいはず。ということで収入のお話から進めたいと思います。

大学生・院生の収入はいろいろありますが大きく分けると次の4つでしょうか。

分類の仕方が少し良くない気もしますが,表にすると次のようになります。

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改めて確認すると,いろいろな方法がありますね。ただし現実的には4つのうちの1つだけ!ではなく複数の制度を併用するパターンが多いです*2

全ての収入を合計して額面で入ってくるお金はだいたい12~13万円(学振DCの場合は20.8万円)あたりでしょうか。

この中からいくら投資に用いるのかを最初に決めてから生活費を算出することになります。私の場合は月1.5万円投資することに決め,それに合った生活スタイルに変えました。

何のために資産運用するのか?

院進学を前提に考えていたものの,なぜか就職することになった今の私のように「未定」という人もいます。ただ,20代の貴重な時間に「今使えない現金」を増やすならば目的をちゃんと考えたいところ。

書き出せばキリはないものの,メジャーなものはこんな感じでしょうか。

  • 老後の年金or10年以上先に使うお金
  • 就活
  • 結婚関係(もちろんしない人もいますが)
  • 学生の間の生活費

この中で,学生の間の生活費は銀行預金などにしておくべきでしょう。近々使うことが決まっているのであれば元本が目減りしないことが大事。

一方で老後の年金は投資の中でも株式やソーシャルレンディングといったハイリスクハイリターンな運用に向いていますが,生活に困窮する学生にはそこまでする余裕はないと思われます。少なくとも私にはなかった。

とすれば就活や結婚といった今後数年で起きるライフイベントのための投資・資産運用になるのはず。進学予定だった私はそのつもりで運用していました。

いくら投資すべきなのか?

人にもよりますが,学部生の私が就活した際には50万円あれば仮に交通費全額自己負担でも十分に乗り越えることができました*3。先輩方を見ていると,研究の忙しい院生さんは数を絞って受ける印象があるため,これより増えることはなさそうです。

アカポス公募(大学・高専・国研・国立病院など)は別です。JREC-INを見た限りではほとんどの場合交通費が自己負担でした。*4
 
それに比べて結婚関係は人により大きく異なります。しない人はそもそも0ですし,既に交際している相手と結婚して挙式しなければ格安で抑えられます。一方男性で婚活をした場合,結婚後の引っ越しまで400万円負担したとか...。

5年程度あれば結婚や博士号取得後の新生活資金として100万円以上を投資で積むことも可能ですが,読者を今の学部2~3年生としているので,修士卒での就活資金として3年で50万円を資産運用するのが現実的な気がします。*5

いずれにしても,少なくとも5年間くらいの投資であれば,投資したお金は何に使うんだっけ?を考えるのが大事です。

どんな手段で投資するのか?

投資したお金の使い道が決まってようやく具体的な投資の話です。とはいえここでも考えるべきことは多い...

今回の読者として想定する大学生(特に院生や院進予定の人)の場合,投資対象の金額としては大きくないものの,数年後の特定の時期に使う確率が高いお金ということになります。
 
この特定の時期に使うというのが大事...

予算を考えて現実的に可能な手段はおおむね次のような感じでしょう。 ソーシャルレンディングは(?)という感じですが,1万円からはじめられるためとりあえず入れてみました。

上に書いた5つの中で,個人向け国債と定期預金は原則元本が保証されています。その中でも個人向け国債は月々1万円から始めることができますし,最低金利0.05%が日本国政府によって保証されています。また購入後1年たてばいつでも中途解約できるのもメリット。

一方NISA/つみたてNISAは一定の範囲内では非課税であることや,株式や債券などある程度は自分のリスク許容度にあった運用が可能なことが魅力です。また各証券会社が種種のキャンペーンを行っていることもあり,それでもリターンを上げることができます。*6

いろいろな商品がありますが,初心者向けの解説サイトも多いつみたてNISAはおススメできる方法の1つ。日本国債の比率が高いインデックスファンド(例えばDCニッセイワールドセレクトファンド(安定型))を選択すれば,大幅な元本割れリスクを減らしつつ投資体験ができます。

細かいことは別として,自分で調べる中で「こんなに暴落するの!?マジムリ」などなど判断するのが納得できる投資結果につながると思います。

少し調べれば,年あたりリターン10%のトルコリラ債券の闇が分かってきたりします...*7

まとめ

やや抽象的な内容になってしまいましたが,
  • いくら投資できるのか?
  • 投資の目的はなに?
  • どんな投資方法があるんだろう?

ということを自分なりに整理すれば.資産運用を始めるすごく良い準備になるはず。

私たちお金の限られた学生(院生さん・進学する方々はさらにお金がない)でもちょっと先の未来のために,そしてなにより安心して勉強や研究を続けるためにも投資を含めた資産運用を考える一助になれば幸いです。

 

*1:例外はありますが,借金したお金から投資をするのはお勧めできません

*2:学振DCは併用不可

*3:実際の交通費は企業が負担するケースが今年は多く,負担額は少なかったです。ただし就職氷河期に戻れば自己負担額は増加しそう

*4:実際私が某大学の任期付きURAの面接を受けたときも交通費は全額自己負担でした

*5:この中に最低限の貯金である現金は含んでいません

*6:楽天証券であれば楽天カードを利用した投資で単利+1%が保証される謎システムがある

*7:アレは色々な意味で本当に「ヤバイ」と思います

【文系・心理学専用】統計学スキル0から卒論執筆まで!初心者向けおススメ参考書

こんにちは。

現在私自身が卒論を書いているわけですが,改めて「学部1・2年生の段階で統計学を勉強しておいてよかった...」と強く感じます。

でも心理学部の人だと,「数学?そんなの受験でも使っていないぞ」とか「正直分散から
怪しいんですよね...」という人が多いのではないでしょうか。

というわけで今回は,現役の心理学専攻の私から学部1・2年生向けのこの本だけは読んでおけ!という本をおススメしておきます。

分析の前処理でプログラミングとかやろうかな...という人はこちらの記事もどうぞ。

 

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そもそも卒論ではどんな統計学を使うのか?

私(心理学)の場合は実験計画法・分散分析だけです...が,質問紙の研究を行う場合は因子分析・主成分分析も必要になると思われます。

そのほか,同じく心理学専攻の私の知り合いのケースを見ている,と共分散構造分析やパス解析なども必要になってくることもありそうです。

気になったのでtwitterで調査してみました。結果は下の通りです。サンプルの数と質や質問文などツッコミどころはたくさんありますが,少なくとも集まったサンプルでは分散分析が圧倒的多数ですね。

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分野によって使う統計の種類は違います。例えば経済学だと時系列解析をよく使うと聞きます。


いずれにしても基本的な教科書に掲載されている解析ができることが必要なわけです。もっとも,大学院に進学せず卒論を書くだけならば「○○分析をするためにはRで××の操作をすればいいのね!」ということが分かっているだけでなんとかなってしまうのも実情ですが...

専門的とは言えなくても数学的な理解が多少できているだけで,「3群以上のときにt検定を繰り返す」*1ようななんとも言えない統計解析をすることを予防できます。

ということで,統計学のこと詳しくないけどとりあえず卒論は書けるぞ!のレベルに到達することを目指しておススメの本を解説していきますね!

おススメ参考書

最近のデータサイエンス・AIブームの影響か,近年統計学の参考書は急激に増えていますし,ネット上にもたくさん資料は落ちています。

ただ,体系的にまとまっていて,それなりの評価を得ている本はかなり限られているのが実情。

今回はその中でも次の条件を全て満たす本にターゲットを絞ってみます。

具体的には,

  • 現行の高校数学1A・2Bの知識で読める
  • 分散や相関係数レベルの知識が怪しくてもOK
  • 基本的な解析法については全て扱っている

の3つです。そのなかでも特に今回は「数学的な手法も多少触れることができること」にこだわっておススメの本を選んでみました。

全て私が自腹で買って勉強した本なので全て心からおススメできる本だと思います。

 

統計学の初歩(文系数学の理解を前提)

この本は統計学の超入門書で,一応は農業統計学を意識して書かれています。でも平均・分散から分散分析・因子分析まで扱っており基礎知識0から始められるのが魅力の本です。

心理統計学の本ではありませんが,尺度基準の問題など心理学において重要な問題もちゃんと扱っていて,統計検定の勉強にもなりました。入門書では極めて珍しいことに順位データなどのノンパラメトリックの手法についてもちゃんと解説してくれています。

しかもこの本では「こういう状況だとどの手法を使うべき?」を一発で解決してくれるチャート図も掲載されており,分析手法の検討にも利用可能です。*2

 

数学的な面でも数3や行列の知識がなくても読むことが可能な本であるにも関わらず,理論的な側面も最低限理解できるようになっています。

また,入門書なのに実験計画法を扱っていることも他の本ではなくこの本を選んだ理由です。総当たり(すべての組み合わせを実施)ではなく試行数を抑えつつ統計的に価値のある(有意か否かは問わない)結果を得るための手法や乱塊法などのことを実験計画法というわけですが,これをちゃんと解説してくれている入門書は本当に少ないのです...

ページ数が多いとは言えないものの心理学にとって重要な分野をかなりわかりやすい記述で扱っており,統計学最初の1冊として自信をもっておススメできる1冊です。

数学的な解説が不十分であること,問題演習があってないようなものになっているのが気になりますが,そこは他の問題集を購入することで解決できると思います。問題演習をたくさんしたいならば統計検定2級の過去問集などを購入すべきかと。

因子分析と主成分分析については本当に簡単にしか触れていません。

 

なお,統計学の入門書と言えば東大出版会統計学入門でしょ!という方が多いですが,あれは統計が中級者向けの本だと思います。私は統計検定2級(大学教養課程レベル)を持っていますがそれでも相当頑張らないと読めないかな...

もっと統計学をやりたいという方はこちらからどうぞ。

心理統計学の入門

東大で長年心理統計学をを研究し,日本の心理統計学をけん引されてきた南風朝和先生による心理統計学の入門書。心理統計学の本としては10刷以上を記録している超有名な本です。

分散・相関係数を数理的にしっかり勉強したい*3というレベルから分散分析・因子分析まで数学的な解説をメインに扱ってくれている良書です。数学的な解説をしているものの,教科書の最初の方では数学の知識が高校数学1A程度でも理解できるようなレベルになっています。

栗原先生の本とは異なり,因子分析において斜交回転*4の解説をしていたり,分散分析においてマルチコの解説をしていたりとそれなり(統計検定でいえば2級レベル)に統計学を学んできた人であれば「考えないといけないけど現実には難しい問題」も丁寧に解説してくれているのがこの本の魅力。

高校数学の数学2Bをしっかり理解していないと読み切れない本ではありますが,数学的な面もしっかり理解して統計学をやりたい!という人にはおススメできる本です。

またこの本には続編となる「続・心理統計学の基礎」や上の本に対応した問題集である「心理統計学ワークブック」という本も販売されています。実際に手を動かしながら心理統計学の理論面を勉強したい!という人におススメのシリーズ。

Rで実装するための統計学入門書


2008年に発売された本で10刷以上を重ねています。Rの参考書と言えば必ずおススメ紹介される本だと言えるでしょう。本の著者は全て心理統計学の研究者であり,心理学部の学生の数学・統計スキルを理解したうえで書いているのがこの本の魅力。

 

統計解析のフリーソフトであるRを使うことで統計学の入門的なスキルを学び,実際に分析できるようにする!のがこの本の目的となっています。

R自体はプログラミングが必要ですが,プログラミングスキルが0の人でも解析できるようにごく初歩,具体的にはソフトウェアのインストールからデータの型などから解説してくれています。

 

入門書でありながら扱われている解析は割と多様な方法が解説されていて例えば因子分析や単・重回帰はもちろん共分散構造分析や人工データの発生といった領域まで扱っており,1冊完全に覚えれば最低限の解析はできそう!です。

発売から10年以上の年月が経過しており,既に使えなくなっているパッケージもあります。


あくまでもRの参考書という立ち位置に立つため,統計学の理論面についてはごく簡単にしか説明されていません。数列や行列を用いた解説が一切ないため「とりあえず実装したい!」という人にはおススメできる本の1つとなっています。

この本のレベルアップ版で,実際の分析や論文執筆でRをどう使うのか?という解説をしてくれているのがこの本。少しでも良い論文を書こうという各研究者の苦労が手にとってわかるような名著。地味ではありますが宜しければどうぞ。

まとめ

今回は文系数学レベルの統計学から卒論をなんとか書くための統計スキルを身につけるために私自身も使っている本を紹介してみました。もちろん紹介した本を完璧に理解すること自体簡単ではないのですが,読んで実践すれば「とりあえず意味を理解しながら卒論書けるぞ」にはなるはず。

では皆様一緒に論文執筆頑張りましょう...(人のこと言えない)

ご質問がありましたらこちらの質問箱に投げてみてくださいね。記事の参考にさせて頂きます。

*1:t検定だと過剰に有意になりやすくなるため,本来は分散分析が必要な状況です

*2:もちろん何も考えずにチャートに依存するのは良くないですが...

*3:単純計算で数学的に導出できるレベルではないと読めないと思います

*4:栗原先生の本では直行回転のみの解説となっています