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なぜ文系院卒は就職できないのか?

こんにちは。

先日ネットサーフィンをしていたところ、こんな記事を見つけました。

1. 文系院生の就職の現状 - 大学院生(修士/博士)ポスドクの就職・転職情報サイト「アカリクWEB」

 

内容を簡単に言えば、理系であれば大学院(特に修士)卒でも普通に就職できるけど、文系の場合、就職も進学もできない人が博士なら5割以上いるよ。というもの。

 

また,文系院卒の女子はいらない!という感じの厳しい記事も。

www.businessinsider.jp

頭では理解しているものの、実際にデータを見せられると辛いもの。進学をやめようかな...とも思ったり。

 

husbird.hatenablog.com

 

私自身は学部生ですが、なぜこんなことになるのか。以前文系の研究所で仕事をしている経験から書いてみました。(細かいことは書けませんが上司の6~7割くらいが博士号を持つ,かなり研究色が強い半官半民の研究所です)

 

POINT

実際に進学を目指しつつ就活した体験から文系院卒が不利な理由を考察しました。

 

最終的に私は学部卒での就職を選択しました。主に障害学生向けですが,よろしければ見て行ってくださいませ。

 

参考【新卒】発達障害の私がクローズ就活を選択した理由

 

文系院卒が就活で不利になりがちな理由 

こういった傾向は文系院卒の社会人からはあまり感じません。
就職するとこういう傾向はなくなるのだと思います。
生存バイアスかもしれませんが...

専門が仕事で生かしにくいように思われる

少なくてもプログラミングや実験技術など理系であれば当たり前に持つものを持たないのが文系(心理学はそうでもないですが)。そのため、学部生と同じ能力のある高齢者を雇うことはしないというもの。*1

 

実際に就活していても,日本の事務系採用の場合,大学院卒の知識が生きることはほぼないなあ...と感じました。文系院卒に寛容な業界といえばシンクタンク・コンサルくらいでしょうか。

 

専門外の人とのコミュニケーションができない

これは理系、文系の人どちらにも言えるのですが、大学院生、研究者は専門用語をたくさん使います。専門用語を使ったほうが誤解が生じないからですね。

専門用語がわかる研究者と院生の間では。

 

ただし専門外の方には専門用語はわからないものです。
理系の場合は産学連携などで他分野の技術者と話すことが比較的多くあるので、多少は専門外の人にもわかるように説明するようになります。
しかし文系の場合産学連携などの機会も少なく,専門用語ばかり使っていても問題なく研究できる,という状態になりがち。*2
こういう文化で育った学生が就活で研究のことを話しても面接官は「?」となりがち。

 

このことを改めて感じることが仕事中にありました。

私「ここは因子分析を用います。推定法は最尤法で回転は無相関が仮定できないのでプロマックスで...」*3

 

ボス「因子分析の細かい説明をされてもお客さんはわからないから、そこは「分析の結果」でまとめるよ。」

 

このとき、専門外の人にもわかるように説明するのが企業での研究なんだな...と感じました。学会論文ではなんの前提もなくプロマックス回転してきますし...

 

実際に就活をしていた際にも,ざっくりでいいからわかりやすく説明して!と言われたことが何度もありました。

 

対策

上に書いてきたようなことを対策するのはもちろんです。
ただ,そもそも業界選びの時点で文系院卒を歓迎する企業を選ぶのが大事だと感じました。


大学職員

私も複数の大学に応募しました。
多くの大学(特に進学率の低い傾向にある私大)では「ある程度研究経験のある院生が欲しい」というケースがあります。

実際に四季報を見ていても,近畿大学のように文系院生を毎年複数名採用している大学も多くあります。

学歴別の採用数を公表していない大学でも,文系院生も採用しています!と説明会で出てくるケースは多いです。私が参加した範囲では慶應義塾がそうでした。*4 

大学職員に理系院卒で応募する人は少ない(メーカー等に抜ける)傾向があり,文系院卒が優遇される数少ない業界の一つです。

 

公務員

面接はあるものの,民間企業に比べて筆記試験がかなり重視されています。 筆記試験には強い傾向にある院生にはとても相性がいい業界です。

民間企業と併願しやすい特別枠(SPIだけで受験可)の自治体は楽ではないですが。 また国家公務員総合職・東京都・京都市などでは院卒者を学部卒者とは別の枠で採用しています。こういう枠は結果として学部卒よりも倍率が低く,院生にはチャンスが多いそうです。 私の先輩でも複数名が文系院卒→公務員になっています。

 

特定の文系院卒採用が多い企業を狙う

主にコンサル・シンクタンクを中心に,文系院卒を毎年10名以上採用している企業があります*5

 

詳しくはこちらのサイトを確認してほしいですが,私が知っている範囲ではNRI(野村総合研究所),日本IBM,ニトリは文系院卒を毎年採用しています。


この年はNECソリューションイノベータが2桁採用していますね。

 

特にニトリは私の大学院からも毎年複数名が入社しています。*6

 

なおコンサル・シンクタンクのは少数精鋭型の採用を行うケースが多いです。
そのため採用数は少ないものの,文系院卒の割合が30%以上というケースも多々あります

 

いずれにしても院生が好きな企業,嫌いな企業にはっきり分かれていると思いました。 私の場合,院進学を前提に「院生に寛容な企業」のインターンを中心に参加しました。

あまりまとまりがよくないですが,何らかのヒントになれば幸いです。

*1:理系の場合はメーカーを中心に院卒,そして博士卒でも積極的に採用されています

*2:こういう問題を克服するためにサイエンスコミュニケーションがあるのだと思います

*3:因子分析では因子を見やすくするために「回転」という行為を行います。バリマックス回転・プロマックス回転というのはその回転の種類のことです

*4:慶応義塾は大学ではなく学校法人一括での採用です。

*5:文系院卒を毎年2桁採用しているというのは極めて貴重

*6:内定だけでいえば院生の3人に1人が内定していたとの噂も