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【心理学部生必見】ブラック研究室を回避せよ!研究したい人のための研究室選びのコツ5選

こんにちは。


先日twitterで回答をしたところ想定外にたくさんの反応を頂いたのでこちらでも公開してみたいと思います。


この文章は主に大学院への進学を考えている,あるいは心理学を活かして就職したい学部2~3年生向けに「研究室選びの基準ってある?」を書いてみた文章です。

 

大前提として研究室のPI(たぶん教授や准教授)と相性が悪くないことが前提。悪い人でなくとも気が合わない人と毎週顔を合わせるのは辛いです。

就職まで退官/異動リスクが少ないこと

大学の先生は高校までと異なり,「定期的な人事異動」はありません。
もちろん任期制で採用された先生が任期切れで大学から出ていくことはありますが,
心理学の教授クラスで任期制が発動されるケースはまだないと思います。

では先生はどのタイミングで大学を辞めるのか?ですが,
大きく分けて定年退職と他大学に引き抜かれるケースの2つがあります。


まず国公立大の場合65歳,私大の場合70歳が定年です。
この年齢になれば教員は強制的に退職します。*1

 

そして厄介なのが「他大学に引き抜かれるケース」
年度末になって突然「4月から他大学に行くから」と言われ大変なことになります。
*2

 

教員もより自分の研究意向にあった大学や企業に行きたい!というのはあるので次のような条件を満たしているかは教員が引き抜かれるリスクの高低を判断する基準になると思います。

 

a.職位が教授であること

b.今の大学が教員の母校であること

 

いずれも満たしていれば,他大学に出ていくリスクは小さいと思います。昔は本当にこの法則通りだったのですが,最近は母校から海外の大学に引き抜かれていく先生もいるようで...

 

科研費/共同研究の実績があること

科研費/共同研究の実績があるということは,その研究者の質をある程度担保してくれると思います。*3

特に,共同研究の実績があるというのは「その先生のコミュ力」があることを示すのではないでしょうか。企業の方と協力できるのはやっぱり先生としても魅力的です。

また,科研費の場合は採択された額のうち70%はその研究者たちが使うことができます。だからこそ科研費をたくさん取れるラボとそうでないラボには格差が生まれるではないでしょうか。*4

心理学の研究室もそうですが,お金の有無は研究環境にシビアに響きます。例えば謝礼が自己負担だったり,学会参加の交通費が全額自己負担だったり…お金のある研究室は概して待遇がいいです。

お金のない研究室だと下の記事で書いているようなことが普通に起こります...

参考記事【研究室格差】調査の謝礼が自己負担!?お金のない研究室の現状とお金のある研究室の見抜き方

 

例外は多々ありますが,科研費/共同研究の実績があれば安定的に研究できるでしょう。科研費や共同研究の実際のところはこちらをご覧ください。 

参考記事【体験談】科研費?共同研究?将来を分ける研究テーマ選び

 

学振採用実績があること

まずは学振について説明しますね。

日本学術振興会特別研究員(にほんがくじゅつしんこうかいとくべつけんきゅういん)とは、文部科学省所管の独立行政法人日本学術振興会が、日本トップクラスの優れた若手研究者を採用し、自由な発想のもとに主体的に研究課題等を選びながら研究に専念する機会を与え、研究者の養成・確保を図るため、研究奨励金および研究費を支給する制度である。特別研究員には、給与生活費)として研究奨励金(月額20万円~44.6万円)が支給され、さらに年間150万円(SPDは300万円)以内の科研費(特別研究員奨励費)も支給される。特別研究員に採用された者の常勤研究職への就職率は抜群に良く、同制度は我が国における研究者の養成・確保の中核的な役割を果たしている[1]多くの若手研究者が特別研究員に申請しており、非常に狭き門として知られている。(Wikipedia 日本学術振興会特別研究員より引用) 

わからない人のために簡単に言うと「学生なのに月々20万円もらえるシステム」です。すごい!(#^^#)*5

そしてこの学振に採用されるための倍率は5倍とそれなりの倍率になっています。

ところで私のラボの先生方を見る範囲で,学振には先生方の支援が必須です。
特に応募時に提出する「評価書」は指導教員が書くことになっています。
先生曰く「マジで大変」らしいです。ということで学振採用実績があるということは「それなりに指導してくれている」証拠になると思います。

なお,同じ理由で「博士号」取得者が多いところは非常に魅力的です。

 

就職実績が明確なこと

アカポスや心理学を活かした企業就職にはボスの力が必須。
実際私もボスには何度も推薦書を書いてもらいました。
推薦の時の話はこちらをどうぞ。

husbird.hatenablog.com


いずれにしても,卒業後も心理学にかかわりたいならばこの繋がりは大事。
研究室選びの段階である程度聞けば教えてくれます。

臨床系の人の最初の非常勤はボスから紹介されたところというのは聞きますし,研究室選びに重要な要素であるのは事実です。

 

学生からの評判がいいこと

これ大事。できれば学部生ではなく院生に聞いた方がいいです。院生さんは学部生に比べて研究を進めていますし長年教員と関わっているためアドバイスをくれるはず。

パブリックな研究室訪問で聞くのもいいですが,心理学の場合「実験参加者として参加したとき」に聞くのがおススメ。

待ち時間とかに聞けば教えてくれます。私が今のラボを選んだ理由も,先輩方からの評判が悪くなかったからです。

まとめ

いろいろ書いてみましたがどうでしょう...結局のところ「実績がそこそこあって指導熱心なボスかどうか?」なのかもしれません。

行きたい研究室は決まった!ではその研究室に入るには何をすればいいの?というあなたはこちらの記事をご覧ください。

参考記事【心理学部生向け】納得いく研究室配属(入ゼミ選考)を勝ち取るためにすべきこと3選(心理学の活かし方~研究などイロイロ~)


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*1:名誉教授などの例外はありますが,退職後に大学に来ることは減るのではないでしょうか

*2:いろいろ事情があって,事前には言えないことも多いです

*3:なお,科研費/共同研究の実績がないことが直ちに「あまり信用できない先生」を意味するわけではありません。心理学系でも科研費/共同研究を狙いやすいテーマとそうでないテーマはあるはずです。

*4:ちなみに残りの30%は「間接経費」といって採択された研究者の所属する組織に提供されます。所得税みたいなものです

*5:もちろん様々な制約があり万能ではありません。研究専念義務や留学の制限などがあります