こんにちは。
心理学で就職したい!という人は、少なくとも自分なりにはに心理学に向き合ってきたはず。研究だったりUIを考慮したアプリの開発だったりいろいろな経験があると思います。とはいえそれを企業の人に伝えるのは難しいもの。
そこで今回は「心理学の強みを面接でうまく伝えるために、どんな準備や心構えが必要か?」を私の経験から書いていきます。
その前に心理学と企業就職全般の話が聞きたい!という方はこちらの記事をどうぞ。
面接官は心理学を知らないことを理解する
まず、企業の人は想像以上に心理学を知りません。 これは事務系総合職などの文系職だけでなく「心理学専攻を技術者として採用する」場合にも当てはまると思います。
私はいくつかの企業を技術系で受けましたが、そういった企業の面接官は「なんで心理学の人が自社を受けてるんだ?」という状態でした。分野の話になったときに聞いてみたところ、バイオや機械系など、心理学とは全く関係のない分野出身の方でした。
学会などで先輩方のお話を聞く限り、博士/ポスドクで採用する場合「入社前の段階で配属部署が確定している」ケースが多々あります。そのこともあってか「心理学のことがわかる」人が面接官になるケースもあるようです。
技術系採用でも心理学とは関係ない人が出てくるのは、ほとんどの企業で「面接官になれるほど心理系出身者が採用されていない」からだと思います。
このブログの読者の方ならなんとなくわかっているかもしれませんが、心理学を生かして就職することは容易ではありません。
臨床系で病院や公務員試験を受けるならまだしも、民間企業での技術職/研究開発職となるとなおさら少ないと思います。*1
せっかく面接を受けるチャンスが得られたなら内定まで持ち込みたいですよね?ということで面接対策について書いていきたいと思います。
「正確さ」よりも「わかりやすさ」重視で
まず、多くの日系企業であれば大学での専門分野=就職先での配属分野ではありません。近年では職種別採用をする企業も増えつつありますが、まだまだ少ないのが実情だと思います。
実際に私が受けた企業の面接でも大学での専門分野はさほど重視されませんでした。就職してから実際に職場の先輩方を見ても、自社の事業とは全く関係なさそうな分野の出身者が半分近くいます。
このような前提のため「専門用語を駆使して科学的な正確さを担保」する学会発表のようなことをやってもと面接官の方は理解できません*2。
専門性を強く重視して採用されるらしい博士は例外として少なくとも学部生や修士卒であれば,、とにかくわかりやすく「なんとなくこんなことやってるんだなあ」くらいが伝われば十分だと思います。
説明に用いるレベルとしては高校1年生にもわかるレベルの言葉を用いるのがちょうどよいと思います。
私の場合「子供むけ学習器具××の使いやすさについて研究しています。例えば汗の量などの生理測定や実験の解析などを行っています」などともの凄くざっくりと言っていました。
大学での専門について関心があるのであれば、ちゃんと「もっと詳しく説明してください」と面接官の方から投げかけがあるはずです。
研究内容について話す意味とチャンスはほとんどない?
私が受けた企業*3だと、「文系の人はあまり勉強していない」ことを前提に面接がされていると感じました。
そのため基本的に実験手法や研究業績などは聞かれず…
ある企業では事務系総合職で応募したのですが、研究業績が0ではないことを言ったところ「院進するの?」と言われたことも...*4
博士ならまだしも、少なくとも学部生では研究したいです!ということを押し出すにはそれなりのリスクが伴うと思います。修士卒以上と異なり、研究から離れた部門に配属されることが多いですし...
その一方で多くの企業は「理系ならちゃんと勉強している」そして「心理学の一部の分野は理系に近い」ことに気づいていたように感じます。
だからか「生理測定してます!」とか「統計解析できます!」とか伝えるとかなり反応が良かったです。少し専門用語っぽい(でもなんとなくわかる)言葉の響きが良かったのかもしれませんが...。
研究で取り組んだことを「棚卸し」しよう
心理学を含む文系学生で研究成果そのものをガクチカにするのはおススメしません。というのも面接を受ける中で感じましたが、やっぱり研究内容そのものは重視していないんだなあ...と思います。
むしろ「研究において工夫したことは何?」「そのテーマを選んだ理由は?」「誰かと協力したりした?」ということについては少なからず聞かれました。
私の場合は「仙台で行われる学会に参加し、研究者から直接アドバイスをもらった」と言っていましたね。
何からすればわからない!という方は面接の準備として、自分の心理学での研究経験を明確にしてみるのがおすすめです。
そして、自分が心理学の研究で経験したことをできるだけ細かく書き出してみましょう。
例えば、
- 質問紙の尺度構成をしっかり考えた
- 実験後のデータ処理,等分散性の検討をきちんと行った
- 自分の専門とは少し離れた臨床心理学の知見が多い
こういう「心理学専攻であれば当たり前」のスキルもちゃんと書き出すことが大事。企業には心理学人材が少ないため、大学では埋もれるようなスキルでも活用できるチャンスは多々あります。
会社の研究や事業内容をきちんと調べる
面接を受けて改めて痛感しましたが、多くの企業の面接官の方は「心理学の知見が会社でどう生かせる?」かは想像以上に把握できていないように感じます。
そのため、会社が行っている事業内容についてきちんと調べることが大事。これは就活生向けのサイトだけでなく、投資家向けのIRや一般消費者向けのサイトまできちんと読み込むということを指しています。
例えば自動車メーカーであるホンダの消費者向けサイトを見てみると、飛行機にヒューマンインタフェースの知見が生かされていることが書かれています。
心理学が生かせる部署はここ!というイメージで就活を勧めがちですが、特定の部署や事業体だけでなく、会社全体で心理学を使って何をしているのか?ということについてきちんと調べることが大事だと思いました。
また、公式サイトだけではなくどんな研究をしているかも、論文や学会発表を探してちゃんと調べましょう。会社によっては技報といって、その年にどんな研究をしたか?を会社の広報資料として発表してくれる企業もあります。
昔すぎる研究を調べるのはNG。もうそんな研究をしていないかもしれません!
そのうえでそれぞれの事業において心理学の知見がどう生かせるのか?をしっかりと考えて話すのが良いでしょう。
まとめ
全文読んでもらえば、結局どっちなの?と感じるところがあると思います。個人的には企業によって全然違うと言わざるをえません。
もちろんこれは私の体験ですし、学歴*5や企業によって技術系の面接で何を聞くか?は大きく違うと思います。
ただ、心理学専攻の人が就活するときに最低限気をつければいいことは書けたと思います。今後心理学→企業研究職を目指す方にとってこの記事が少しでも参考になれば嬉しいです。