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【学部生向け】初めての学会をうまく廻るための下準備とは?

こんにちは。

 

学会発表は院生になってから!という大学もありますが、就活の前倒しを受けてか早いうちに業績を積みたい!学会に行ってみたいという学部生は当然いるはず。

でも、自分が発表するならまだしもそうじゃないならどんな風に回ればいいのかわからない...という方も多いのではないでしょうか。というわけで一応学部生時に学会に3回参加していた私の目線から書いてみたいと思います。

POINT本記事は学部生向けに「学会を楽しみたいならここは気を付けるといいのでは?」というのを解説した記事です。



本ブログは主に心理系の方に向けて書いているため日本心理学会を中心に解説してはいますが,そのほかの学会でも参考になるところはあると思います。

 

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2019年9月12日追記:本記事で言及している日本心理学会若手の会スタッフの方から本記事について「参考になる点あり」とのコメントを頂きました。感謝申し上げます。

目標を決める

お金と時間を割いて学会に行くわけですから、無駄にはしたくない! というわけで目標を決めましょう。

目標はなんでもいいです。発表をたくさん聞く!学会で誰かと仲良くなる!などふんわりしたのでもOK。ただできれば具体的な方が達成率を上げると思います。


私の場合

  • 3人以上の研究者から研究室訪問の許可を勝ちとる
  • 自分の研究に関する知見を1つ以上持っていく
  • 企業研究者の発表セッションを1つ聞く

の3つとしました。

特に当時の私は大学院進学を考えていたため、自分の学びたい分野に近い学会発表には行こう!あわよくばそこで学生さんor先生と少しでも話せればいいな...とは考えていました。

Twitterで共有すべし

自分が学会発表する場合は、学会当日までに少しでも自分の発表に関心がある方を増やすのが大事。私もtwitterで告知された発表見に行ったことがあります。

発表はしない方でも、〇〇学会の〇日目参加します!と言っておくだけで誰かと良い出会いができるかもしれませんし...

持ち物で武装すべし

持ち物といっても大したものはありません。

服装も日本心理学会の場合私服でいいでしょう。私は白の半袖ワイシャツで参加しましたが,登壇者クラスの方でも私服の方も少なからずいました。就活でいう"オフィスカジュアル"なら十分だと思います。*1

持ち物として最低限あるといいのは3つ。

ノートパソコン

普段大学の授業は手書きノートかもしれませんが、学会発表の場合進みが速いです。手書きで書いていては時間がありません。スマホだと画面も小さく不便です。できればノートパソコン、それもバッテリーの持続時間が長めのもので記録した方がいいと思います。

名刺

研究者の皆様と連絡先を交換するのに必要です。院生さん以上はほぼ全員持っていますが、学部生でも持っていると連絡先を交換しやすくなります。 私は初めて行った学会にはもっていかなかったのでものすごく後悔しました。

(できれば)ノートパソコンを充電できるモバイルバッテリー

日本心理学会で行われる学会発表のうち、小講演や基調講演は2時間近い時間を要します。

せっかく学会で貴重なお話を聞いているのにパソコンの充電がなくて記録できない… ということがないようにできればモバイルバッテリーがあるといいですね。*2

どの講演を回るか?

自分の研究分野に近いところ、院試で興味のある先生のところ…なんでもOK。

ただ過去の経験から「このセッションはよかった」とか「こういうセッションに行けばよかった」というお話はあると思います。そんなアドバイスです。

事前に見たい発表を決めて動くべし

少なくとも日本心理学会の場合、朝から晩までスケジュールが埋まっています。そのため全ての発表を見ることができるわけではありません。

日本心理学会公式サイトにプログラムが公表されています。それを前日までに見たうえで見たいプログラムを決めておきましょう。

皆さんが音楽のフェスに行くとして、事前にどのアーティストの講演を見たいか決めてから行きますよね?それと同じことです。

 

若手の会主催イベントは優先的に参加すべし

多くの学会において、若手*3を中心に相互にサポートしあう組織があります。

日本心理学会の場合、「若手の会」という名前でそのような活動を行っています。 この団体は主に院生さんに向けての進路サポートや学振獲得支援、旅費支援などを行っていますが、学部生にとっては彼らから得られる学びはすごく大きいもの。

 

学術会議として行われる日本心理学会では,主に2つのセッションに関わっています。

プレゼンバトル

昨年は1日目午前中に開催されていました。

学部生が5分間で自分の研究やその計画(つまり結果が出ていなくてもOK!)を発表できるセッション。正式な業績にはなりませんが,学部生が発表できるセッションでは一番大きなクラスだと思います。

昨年は15人程度が登壇していましたが,ここに登壇している方は,おそらく「将来学振の採用におけるライバル」だったり「企業採用ポストの競合」になる人のはず。

 

仲間でもありライバルでもある人がどんな人なのか?それを知っておくだけでも自分の進路選択に役立つと思います。

2019年の日本心理学会学部生プレゼンバトルで私自身が実際に発表させて頂きました。発表者である私の目線から見たプレゼンバトルはこちらの記事を見ていただけるとわかってくるはずです。

進路相談会

昨年は2日目の夕方に開催されていました。

その名の通りですが, 「心理系の人はどんな就職先があるの?」「研究歴が短い中で学振を勝ち取るには?」といった学部生にとっては極めて重要なお話をたくさん聞くことができます。

また講演終了後は1時間近くにわたって若手の会スタッフの方に個別相談する機会が設けられていました。 昨年は学部生が20人程度,院生もほぼ同じ数が参加していました。

 

企業研究者が参加するセッションは優先的に参加すべし

大学教員への就職にこだわる場合はあまり重要ではありませんが、少しでも企業への就職を考えている場合は優先的に回るといいいでしょう。

工学系の学会には企業の研究者がたくさん来ているそうですが、心理学の学会だと少ないもの。

日本心理学会の原稿を見ている限り、発表者の70%くらいは大学と病院などの臨床系のはず。純粋な企業の発表は多く見積もって20%くらいでしょうか。

しかもポスターではなく講演(口頭)での発表になると3日間全て合わせて5件あるかどうか…な気がします。*4

ここで、なぜ企業が日本心理学会で発表しているのか?を考えてみましょう。 いうまでもなく発表内容が心理学に関係するからです。

そして発表するということは企業内のビジネスに心理学が関与しているということです。 さらに考えてみると「心理系人材を必要としている可能性がある」ということです。

学会に来るような人は「(何らかの形で)心理学を生かして仕事をしたい」と考えている人が多いはず。 

もちろん企業の研究者の方はヒマではありません。 実際企業研究者からはこんな意識で学会に参加しているようです…


しかし、少なくとも日本心理学会の場合は学生さんが質問してくれば,ある程度は丁寧に回答をしてくれます。そしてその際に「実際心理系人材って御社にいます?」と聞けば「いる・いない」で答えてくれたケースも。

学会でお話を聞いたのをきっかけに心理系人材として企業に興味を持ち,実際に応募に至った企業が複数ありました。

 

2019年度の日本心理学会セッションにおいても「学会ではめげずに研究者に話かけ,そこで作ったつながりを育てること,就職に成功してもそのつながりを維持すべきだ」との発言がありました。*5
 

こういった形で企業との縁を作っていくことは学部生としてだけではなく、大学院進学後の就活を考える際にもとても役に立つと思います。

まとめ

ここまで打算的に学会に行くことがいいのかは正直疑問です。しかも私自身が昨年できたかというとうーむ...な部分もあります。

ただし、ある程度目的を持ったうえで事前準備を行うことが、満足のいく学会参加になるのではないでしょうか。


少しでも準備をして初めての学会参加がいいものになれば幸いです。

*1:学会によってはスーツ必須の場合があるとかないとか...

*2:2000円程度で市販されているモバイルバッテリーではなく、45Wのパソコンなどの充電が可能なものが必要です

*3:学会にもよりますが,30歳以下のPh.D.未取得者と助教クラスの人が対象となっていることが多いです

*4:日本心理学会の場合,学会発表は原則としてポスター発表になっています

*5:この方はPh.D.で就職されたようですが,学部生にも参考になる点が多いと思います。